18位の『八代将軍吉宗』(1995年)もジェームス氏の脚本だ。徳川御三家・紀州藩の四男で、将軍になるはずのなかった吉宗(西田敏行)が運命のいたずらで将軍の座にのぼりつめる。
「平和な時代を描くのは難しいんだよ(苦笑)。女性や幅広い年齢層に見てもらうために、ホームドラマの要素も取り入れました。質実で明るい吉宗を、西田が見事に演じてくれた」(同前)
◆「本能寺の変」を2か月延期
黎明期の大河ドラマを「国民的ドラマ」の地位に引き上げたのは、7位に入った『赤穂浪士』(1964年)だ。
「討ち入りの日に、長谷川一夫演じる大石内蔵助が『おのおのがた、かねての手はず忘れぬよう……』と言った台詞は今でも記憶に残っています。学校でもみんな真似して、ちょっと鼻にかかった声で『おのおのがた』って言ってたなぁ」(66歳自営業)
翌1965年の『太閤記』も6位にランクイン。
「秀吉というと“猿”のイメージだけど、緒形拳の真っ直ぐで、カッコいい秀吉が大好きだった」(72歳無職)
「炎と白煙に包まれた部屋のなかで、白装束に身を包んだ信長(高橋幸治)が自害するシーンが鮮烈だった」(75歳自営業)
まだ文学座研究生だった高橋演じる信長の人気はすさまじく、「信長を殺さないで」という投書がNHKに殺到。本能寺の変の放送が2か月も延期されたという。