足元に注意をはらわれるシーンが増えた(2024年8月、長野県軽井沢町。撮影/JMPA)

足元に注意をはらわれるシーンが増えた(2024年8月、長野県軽井沢町。撮影/JMPA)

平行棒や歩行器訓練の苦痛 

 美智子さまは今後、上皇さまの目の届く範囲でリハビリに励まれることになる。一般的に、自宅でのリハビリにはいくつかのメリットがある。 

「住み慣れた環境で、家族と一緒に過ごせることで不安感が少なくなり、精神的に安定した状況でリハビリが行えます」(前出・三原氏) 

 これは、リハビリを行う本人にも、その家族にも同じことが言えるだろう。一方で、注意しなくてはならない点もある。 

「リハビリを行うには、理学療法士や看護師の指導が必要ですが、日本ではこれらの専門家が自宅を訪問するための制度が充実していないため、頻回に訪問を受けながらリハビリをすることは難しいのが実態です。 

 リハビリ以外でも、トイレや入浴など身の回りのことを行うのが困難な状況であれば、介助する家族の負担も大きくなります。そもそも日本の家屋は段差が多く、狭いことが多いため、器具を使用してのリハビリには不向きです」(前出・三原氏) 

 その点、バリアフリー化が済んだ仙洞御所であれば不安はなさそうだ。ただ、リハビリは決して平坦な道ではない。 

「たった数日間でも、骨折によって動けない日が続くと筋力が一気に低下するため、回復までには動けなかった日数の何倍もの時間がかかります。また、年齢、骨折以前の歩行状態、骨折してから手術までの時間などによって違いはあるものの、以前の歩行状態にまで回復することができる人は半分以下です。多くの方は骨折前よりも歩行機能が低下します」(前出・三原氏) 

 ほんの数日でも、動かさずに凝り固まった筋肉をほぐしていくのは激痛を伴う。医療が発達しているとはいえ、体にメスを入れたことに変わりはない。しかも、肉体の中枢に近い股関節だ。強烈な痛みが伴う。入院していればすぐに痛みのコントロールなどの処置を受けられるが、どんなに体制が整備されていても仙洞御所では限界もある。それでも美智子さまは壮絶な「自宅リハビリ治療」を選ばれたのだ。 

 美智子さまは今後、車椅子への移乗、手術した脚に体重をかける訓練、立つ訓練、平行棒や歩行器を使った歩行訓練といったプロセスを、段階を踏みながら進められていく。また並行して、骨折した骨に隣接する関節を動かす訓練や筋力トレーニングにも取り組まれることになる。 

「特に、平行棒や歩行器での歩行訓練は苦痛を伴うため、ハードルが高いと思います。数日とはいえベッド上で過ごしたことによって、足腰だけでなく全身の筋力が低下しているためです。また、手術を受けられたことで、股関節周囲は可動時や荷重時にある程度の疼痛が出るのは避けられません。そうした状況で、腕で体を支えながら立った状態を維持し、さらに脚を前に出すという動作は、慣れるまではかなり大変です」(前出・三原氏) 

 それでも美智子さまは、持ち前のストイックさでリハビリに取り組まれるだろう。もちろんその原動力は上皇さまの存在。そして、これまで皇族としての務めを懸命に果たされてきた、美智子さまの責任感だ。 

「これまで数々の公務や式典で、美智子さまは人前に立たれてきました。そのお姿が会場に現れるだけで、荘厳な空気に包まれるだけでなく、畏敬の念を抱いたものです。令和に時代が変わり、公務にお出ましになることはなくなりましたが、“見られるお立場”であることには変わりありません」(皇室ジャーナリスト) 

 人前に出られる機会が一切なくなったわけではないからだ。 

「昨年1月2日の新年一般参賀に、美智子さまは参加されました。コロナ禍もあり、令和になってからの新年一般参賀は2度目。今年は元日に起きた能登半島地震の影響で中止となったため、近年はなかなか開催できませんでした。 

 美智子さまにとっては、多くの国民に姿を見せられる数少ない機会です。“来年1月2日の新年一般参賀に立つ!”という決意のもと、壮絶な治療やリハビリに立ち向かおうとされているのです」(前出・宮内庁関係者) 

 美智子さまは必ずもう一度、立ち上がられることだろう。 

女性セブン2024117日号 

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