芸能

満島ひかり 黒柳徹子役で物まねを超越した技巧示した

番組公式HPより

 ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が今クールを振り返った。名前があがった俳優の演技には視聴者も感じるものが多かったのではないだろうか。

 * * *
 春のドラマが一斉にエンディングを迎えた。話題作を振り返ってみると……事前の想定を大きく超えていく「面白さ」がいくつも発見できた。余韻冷めやらぬうちに、注目の3人をあげてみたい。

●その1 物まねを脱した満島ひかりの技巧力

『トットてれび』(NHK)で黒柳徹子を演じ、話題を集めた満島ひかり。これまでどちらかというと、計算するよりも全身全霊で役に成り切る「憑依スタイル」の印象が強かった。

 しかし、今回の黒柳徹子役は、どうだろう? たしかにタマネギ頭をしていたけれど、ただの物まねとも違う。早口、素っ頓狂なテンション、途中から裏がえる声。「わたくし」という山の手風の言葉使い、畳みかけるような繰り返し──黒柳徹子の独特なあの気配を漂わしていた。

 満島ひかりは黒柳の話し方の特徴を分析し、「速度」と同時に「言葉がはっきりと響く」点がポイントだと把握した上で、即興的に演じたのだという。

「アドリブでたくさんしゃべっていたんです。徹子さんのあのテンションを表現するには台本に書いてあるせりふだけでは足りなくて」(沖縄タイムス6月18日)

 技術を極めていった上で、いきいきと黒柳徹子に「なりきった」。その意味では、単なる物まね「そっくりさん」ではなかった。

 実は、今回のドラマ出演の話は「2回断った」という。

「再現ドラマになってしまうのが怖かった」からだ(オリコンスタイル 4月30日)。そして「徹子さんが生きてきた人生をちょっとお借りして、現代でどれだけテレビの中で遊べるかやってみようと思いました」と満島は振り返る。

「再現ドラマになってしまうのが怖かった」という一言、注目すべきだろう。形だけのトレースは拒否。その上で、黒柳徹子という人をもう一度自分なりのやり方で、生きてみるという挑戦。今回のドラマの見所であり、イキイキと輝いた理由ではないか。

 感性の人でもあり技術系の役者でもある。でなければ、ヒトクセもフタクセもある黒柳徹子を、本人と一緒に画面に登場しながら演じるなんて、とてもできない。すでに昨年の『ど根性ガエル』(日本テレビ系)のナレーションあたりから「技巧的」な気配を感じさせていた満島。それが今回の『トットてれび』で、はっきりと明らかになった。

関連記事

トピックス

財務省の「隠された不祥事リスト」を入手(時事通信フォト)
《スクープ公開》財務省「隠された不祥事リスト」入手 過去1年の間にも警察から遺失物を詐取しようとした大阪税関職員、神戸税関の職員はアワビを“密漁”、500万円貸付け受け「利益供与」で処分
週刊ポスト
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト