が、今回の不倫→引退を扱った際には、「それほど伸びなかった」と複数のワイドショー芸能デスクが驚きを隠さなかった。

 第一報を報じた『女性自身』発売日、某ワイドショーで、その江角ネタ以上に数字がハネ上がったのは、「百恵さんだった」そうだ。百恵さんが得意のキルトを展覧会に3作出品した内の2作が子供部屋で使うモノだったということで、二人の年子の息子(共に30代)をもつ百恵さんが「早く結婚して孫を抱かせてほしい」と友人に語った…という、ほんわかしたネタのほうに数字があったというのである。

「数字がない」ということでいうと、大物の訃報も「それほどでもないし、どうしても暗くなってしまうので、なるべく短尺にしたい」とはワイドショーの総合演出の弁。最近では松方弘樹さんや藤村俊二さんら、昭和生まれの視聴者にとっては、御馴染み過ぎる大物の訃報が続いたが、「このお二人のように、活躍の場が多岐にわたっていると、どの時代をピックアップするのが視聴者にとって親切なのかとても悩む」と。

 確かに、松方さんは往年の名優であることは間違いないが、ビートたけしとバラエティーに出演して、その人柄がお茶の間に知れ渡ったり、巨大マグロを釣り上げていたり。さらに、プライベートが毎日のようにワイドショーで取り沙汰された時代もあったが、「それがわかる視聴者は、F3層を通り越してF4層ではないか」と…。さらに「それらをうまく繋げるディレクターも現場に少なくなっている」というのである。

 藤村俊二さんについても、「振付師というのは知らなかった」と40代のディレクターに言われて私も愕然とした。藤村さんも入っていた「昭和九年会」豪華メンバーをフリップにまとめて説明しても、「そう、そう」と頷いてくれるのは70代のコメンテーターだけだった。

 昨今、自分が仕切らせていただいているコーナーで紹介したネタで視聴率の毎分グラフが劇的に上昇したのは、「岡田結実、父・岡田圭右と“共演NG”のワケ」で、決してドロドロした内容ではなく、彼女のプロフィールや多方面での活躍ぶりを紹介した、やはり“ほんわか”したものだったのである。

 実は週刊誌も、芸能ネタの大スクープが掲載されていても、「それほど売れなかった」ということがあるそうで、女性週刊誌編集部内でも、ゴシップよりも実用ネタに力を注ぐことへのシフトを考えているところもあると聞く。

“○○砲”と、読者&視聴者の指向のギャップ。出版社でもテレビ局でも今後の大きな課題となりそうだ。

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