まずテレビ局の事情から。昨今、ネットやスマホの普及で、テレビ番組視聴者の年齢層がグッと上がりました。特に、視聴率につながる「テレビ番組をリアルタイムで見る」視聴者は中高年層がメインとなり、知名度で劣る若手俳優には不利な状況となっています。
実際、今年プライムタイム(19~23時)のドラマで主演を務めた10~20代俳優は、今作の窪田正孝さん、『愛してたって、秘密はある。』(日本テレビ系)の福士蒼汰さん、『視覚探偵 日暮旅人』(日本テレビ系)の松坂桃李さんだけ。3人とも「朝ドラ出演で知名度を上げた」という経歴を持つだけに、現在の民放連ドラが「中高年層に知られていない10~20代俳優を主演に起用しない」という方針であることが分かります。
起用を避ける理由は「視聴率が取れないから」であるのは明白ですが、一方の芸能事務所サイドも、「期待の若手に“低視聴率俳優”のレッテルを貼られたくない」と主演オファーに対しては慎重。「助演として、もう少し認知度と演技力を上げてから」「視聴率で叩かれない映画や舞台で経験を積ませよう」という方針の芸能事務所も少なくありません。
また、10~20代前半の俳優にとって主戦場となるはずの「学園ドラマが壊滅状態になっている」ことも、28歳の窪田さんが主演を務める理由の1つ。かつては、『GTO』(フジテレビ系)、『ごくせん』(日本テレビ系)、『WATER BOYS』(フジテレビ系)、『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス』(フジテレビ系)などからスターが誕生していましたが、低視聴率を理由に学園ドラマが作られなくなってから、主演クラスの若手俳優が育つ場所がないのです。
ちなみに、同じ10~20代前半の女優では、土屋太鳳さん、高畑充希さん、芳根京子さん、有村架純さんなど、民放連ドラで主演を務められるスターが次々に誕生していますが、これはやはり朝ドラの影響に他なりません。さらに、今秋スタートの『わろてんか』では19歳の葵わかなさん、来春スタートの『半分、青い。』では17歳の永野芽郁さんがヒロインを務め、全国区の知名度を得ることは確実。この先も10~20代前半は、「圧倒的に女優有利」の流れが続いていくでしょう。
◆視聴者の批判にさらされるテレビ番組