ここまでテレビ局と芸能事務所の事情から書いてきましたが、問題はそれだけではありません。確かに、「『発掘し、育てる』という視点に乏しい」「作品の質よりも視聴率を重視」するテレビ局、「ルックス重視でスカウト」「消極的な育成プラン」の芸能事務所の姿勢に問題があるのは間違いないでしょう。
しかし、「この人、知らない」「無名の役者では無理でしょ」などと、すぐに批判の声をあげがちな視聴者サイドにも問題の一端があります。テレビ番組がスポンサー企業からの広告収入で制作され、そのスポンサー企業も視聴者の声に反応しなければいけない風潮がある以上、批判の声は無視できません。
「テレビ局はスポンサー企業から広告収入を得る。スポンサー企業は視聴者に商品を買ってもらう。だから視聴者は番組を批判していいし、スポンサー企業もテレビ局も従わなければいけない」という一方的な関係性が強くなる現状では、若手俳優の抜てきはなく、「年齢的に無理があっても、知名度の高い俳優にしよう」という方針になっても仕方がないのです。
もちろん視聴者には自由な発言をする権利がありますが、このままではドラマが中堅・ベテラン俳優ばかりになりかねません。若手俳優に対して、「スターを育てるつもりで見守ろう」と寛大な目で見られるかどうかが、彼らの未来を左右しているのです。
◆ドラマ版『デスノート』は終了直後に絶賛