佐川氏は結局不起訴、その背景には…(時事通信フォト)


◆データ復元部隊

 複数の大阪地検の関係者に聞くと、このときすでに捜査は進んでいたという。

「特捜部は、告発直後の4月から財務省や国土交通省の事情聴取を進めていました。背任容疑でしたが、明確な犯意をもって、値引きに応じた立証が難しい。だから捜査は難航していました。そんなときたまたま見つけたのが、決裁文書の改ざんだったのです」

 特捜部では、森友学園と交渉してきた財務省近畿財務局のパソコンからデータを押収。その解析を担ったのがDF(デジタル・フォレンディック)センター準備室だ。

 DF室はその名称どおりコンピュータの残っているデジタルデータを復元する鑑識部隊だ。奇しくも大阪地検では、大阪地検の証拠改ざん事件(※注)を機に、DFセンター準備室が新設された。特捜部の捜査実務を担ってきた資料課の優秀な4人の事務官たちが配置され、データ解析を進めた。結果、決裁文書の改ざんに行きあたったのである。

【※注/2010年9月、障害者郵便制度悪用事件で無罪判決が出た後、大阪地検特捜部の担当主任検事が証拠物件であるフロッピーディスクの内容改竄を行ない、当時の特捜部長・副部長が改竄を知りながら隠蔽したとして、それぞれ逮捕された事件】

 それが、国会閉幕中の昨年夏から秋口にかけてのことだ。背任容疑の捜査に手間取っていた大阪地検は、まず先に公文書の変造容疑を固めようとした。先の関係者がこう打ち明けた。

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