不祥事を起こしたスター選手への“温情対応”も物議を醸してきた歴史がある。1990年、桑田がプロ入り前から親しく交際していたスポーツメーカーの営業マンの暴露本で「登板日漏洩と金品授受」疑惑が浮上すると、球団と桑田は完全否定。
ところがその後に桑田が証言を翻し、金品授受を認める。球団は完全にメンツを潰された形だが、処分は開幕からの謹慎1か月と罰金1000万円(当時の桑田の推定年俸は5200万円)。しかも“1か月遅れの開幕”は調整十分で、2連続完封勝利とメンタルの強さを見せつけた。
現役選手でなくとも“穏便に処理されたケース”としては、原辰徳・監督のスキャンダルが記憶に新しい。2012年、『週刊文春』で「不倫問題に関連して1億円を要求された」と報じられる。原は不倫と1億円の支払いを認めたが、その事実を球団に報告していなかったことも明らかになる。しかし、球団から謹慎や罰金などの処分はなかった。
桑田も由伸も原も、いずれもドラフト1位選手。醜聞の“スケール”は二軍選手の「全裸動画」と比べるべくもないほど大きいが、スター選手に関する不祥事には寛大に接し、穏便に済ます「伝統」があるのだろうか。
(文中一部敬称略)
※週刊ポスト2018年8月3日号