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大船渡・佐々木朗希は昭和33年の稲尾和久並みの酷使だった

1968年当時の西鉄・稲尾和久のピッチング(写真:時事通信フォト)

 戦後間もない頃のプロ野球では、先発と控えに実力差があり、同じ投手が連投することも珍しくなく、酷使に耐えて勝利をもぎ取る姿はヒーローの条件とさえ言われた。

 昭和33年、西鉄対巨人の日本シリーズでは稲尾和久(西鉄)が7戦中6戦に登板。そのうち、5回先発して4完投を挙げている。

 10月11日の初戦に先発するも4回KO。翌日の第2戦は出番なく終わるも、中2日で14日の第3戦で先発。1失点完投も、打線の援護なく敗戦投手に。巨人が3連勝で日本一に王手をかけた。

 後がなくなった西鉄は、中1日空いた16日の第4戦も稲尾が先発し、完投勝利を収める。翌17日の第5戦、稲尾は4回表から中継ぎとしてマウンドに上がり、延長10回表まで投げ切る。その裏、自らサヨナラホームランを放ち、勝利投手になった。

 巨人の3勝2敗で迎えた第6戦、中2日の稲尾がまたしても先発して完封勝利を上げる。そして、第7戦も2日連続の先発完投を果たし、西鉄が4勝3敗で大逆転の日本一を飾った。11日間に及んだシリーズで6試合に登板し、578球を放った稲尾はMVPに輝き、『神様、仏様、稲尾様』と称えられた。これが、上記【3】の投球数データである。

 昭和34年、南海対巨人の日本シリーズでは杉浦忠が4試合で32イニングを投げている。10月24日の初戦に先発し、8回を投げて勝利投手に。翌日の第2戦は3番手として5回からマウンドに上がり、9回まで投げ切って2勝目を挙げた。中1日で第3戦に先発すると、延長10回142球の完投勝利。雨天中止の中1日を挟んで、29日に3度目の先発でまたしても完投勝利。巨人を4タテし、南海を日本一に導いた。

 6日間で4試合に登板し、436球を投げた杉浦は当然のごとくMVPに選出された。これが【2】の投球数データだ。

 試合間隔や球数を並べると、大船渡の佐々木投手は当時の稲尾や杉浦並みに酷使されていたと言える。

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