内部の人間が撮ったとしか思えない動画が、事件直後に流出したため、当初、弘道会の策略かもしれないと囁かれた。警察筋によれば「結局はイキった組員が知り合いに送り、全国に拡散したらしい」とのことで、だとすればほどなくして処分されるだろう。その他、ガラスが粉々になった軽自動車の写真もSNSに流出した。スマホの高画質カメラとSNSは、報道のあり方を根本から変えたが、暴力団抗争も例外ではない。

 事件直後に封鎖された現場付近は、翌日の午前10時過ぎに警戒線が解かれた。みんなで渡れば怖くないとばかり、すぐさま地元の若い記者たちが連れだって弘道会拠点のインターフォンを押しにいった。記者クラブの仲良し活動に、残念ながら暴力団は無反応だった。

 兵庫県警はすぐさま弘道会の拠点にガサ入れを行なった。被害者宅を家宅捜索するのは異例の事態である。

 翌日、神戸山口組・井上邦雄組長の71歳を祝う誕生会が神戸市にある井上組長の出身母体・山健組の事務所で開催された。突発的な発砲事件にもかかわらず、前日から実話系週刊誌記者が神戸入りしていたのはこのためだった。井上組長はカメラを避けるように、駐車場入口から事務所入りしたが、現在山健組を率いる中田浩司組長をはじめとした最高幹部らは姿を隠すことなく会場に入っていった。真夏の日差しが照りつける炎天下に待機し、出席者を確認して撮影する。地道な定点観測を続けるのは、警察と実話誌記者だけである。

 来賓を迎える幹部の中に、山健組・與則和(あたえのりかず)若頭の姿もあった。山健組のナンバー2は、前日の事件があっても、まったく動揺していないように見えた。が、警察は今回の銃撃事件を、今年春に起きた與若頭襲撃事件の報復かもしれないと考えている。

 4月18日深夜0時過ぎ、弘道会野内組系の組員が、神戸市春日野道商店街に向かって歩く與若頭を襲撃した。ヒットマンは臀部に包丁を突き刺した後、振り向いた若頭の体を数か所切りつけ、現場は血の海となった。命が助かったとはいえかなりの重傷で、ヤクザのメンツを考えれば、笑って流せる事態ではない。山健組に近い関係者はこう解説する。

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