「謀反を起こしたばかりか、無防備な末端組員を殺害しようとして銃撃した。高山若頭が戻ってくるまでに、謀反人に鉄槌を食らわせねばならない。山口組に忠誠心があるなら、我が身を犠牲にして証明してみせろという空気に変わりつつある」(六代目側の在阪組織幹部)
10月に控える天皇陛下の即位式典や来年の東京五輪で、全世界が日本に注目している中では、派手な事件は起こせない。
警察の集中取り締まりにあえば自滅してしまう。報復部隊はすでに準備を終え、GOサインを待っているかもしれない。喧嘩の常道は相手の弱点を叩くことであり、そうなれば組織の手薄な部分、小規模な傘下団体がターゲットになるかもしれない。
暴力団は鉛の弾でやりとりする。それが彼らの掟であり存在価値だ。殺し合いを避けていては決着がつかない。屍を踏み越えない限り抗争は終わらない。
●すずき・ともひこ/1966年、北海道生まれ。日本大学芸術学部写真学科除籍。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。週刊誌、実話誌などに広く暴力団関連記事を寄稿する。主な著書に『潜入ルポ ヤクザの修羅場』『ヤクザと原発』『サカナとヤクザ』など。
※週刊ポスト2019年9月13日号