ただ、「すべての芸能人がネット上でエンターテインメントを発信できるか」と言えば疑問が残ります。芸能人の中には、放送作家や脚本家、演出家やプロデューサーなど、スタッフとの共同作業でスキルを発揮している人が多く、彼らの本音は「できればやりたいが、自分一人ではたいしたことができない」。そんなときにものを言うのが交友関係であり、共演経験やプライベートで親交のある芸能人同士がSNSでコラボする様子が目立ちます。
その点、「何かしたい」と思いながらも身動きが取れない芸能人たちに救いの手を差し伸べているのが星野源さんの「うちで踊ろう」。星野さんは「誰か、この動画に楽器の伴奏やコーラスやダンスを重ねてくれないかな?」というメッセージを添えて、さまざまな芸能人がコラボしやすい形を作りました。今後は星野さんのような優しいパスが増え、多くの芸能人たちがコラボしていくのかもしれません。
芸能人たちがネット上に無償公開しているエンターテインメントは、テレビやイベントでは見られないものが多いだけに、気軽に楽しんで現状の不満や不安を吹き飛ばしてみてはいかがでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。