◆『闇の狩人』
江戸の裏社会に生きる人々の人間模様を、哀感とともに描いた池波正太郎原作のドラマです。
記憶喪失の剣客・弥太郎(村上弘明)と、なにかと彼の世話を焼く盗賊・弥平次(蟹江敬三)、弥太郎を殺し屋として使う香具師の元締め・清右衛門(田村高廣)、そして彼らに寄り添う女たち。
陰謀渦巻く殺し屋たちの非情な組織というハードボイルドな乾いた世界が、優しく温かい触れ合いとともに描かれ、孤独な心を抱いた者たちのドラマを際立たせています。
◆『黄金の日日』
最後に、大河ドラマの中でも、特に歴史のロマンに浸れる2作品を紹介します。
『黄金の日日』は、戦国時代の堺を舞台に、商人を主人公に据えた珍しい作品。堺の若者・助左衛門(六代目市川染五郎、現・二代目松本白鸚)が持ち前のバイタリティでのし上がっていく。実際にフィリピンでロケをした南蛮貿易や海賊との交流など、描かれる世界観の大きさも見どころです。
助左衛門の庇護者からやがて権力の亡者となり立ちはだかる秀吉(緒形拳)や、両者の間で葛藤する石田三成(近藤正臣)、助左衛門に協力しながら秀吉に対抗する石川五右衛門(根津甚八)など、脇のキャラクターも魅力的ですね。