『HERS』には、「内助の功は向かないタイプ」という小見出しも躍っていた。これは以前、中井さん本人から聞いたことなのだが、現役時代、痛風に苦しんでいた古田氏。プロ野球選手の妻なら、当然、食事のことや栄養管理に気をつけなければ…と思うものだが、「大人なんですから、そういうことは自分でやってもらわないと」と中井さんはキッパリ言っていた。

 ひどい嫁? いやいや、逆に清々しいと私は思ったものである。

「これまでの人生で“やった感”は30%くらいかなぁ。“ラッキー感”は99%くらいですけれど」と『HERS』のインタビューで締めていた中井さん。

 彼女は自分のことは全てわかっている。ガツガツせず、誰かを蹴落としたりもせず、でも、BIG3といわれたビートたけし、タモリ、明石家さんま全員から愛され、いまでは笑福亭鶴瓶とレギュラーをやっている彼女。大好きな宝塚歌劇団のスターたちへのインタビュー番組でも、女性ファンに嫉妬させない絶妙なポジションなのである。

 ただ猛獣遣いというだけではない。華やかな人の隣に居て絶対邪魔をしない中井美穂。織田裕二が彼女を選ぶのも理解できよう。

 最後に、中井美穂というアナウンサーは、生放送の仕切りが日本一うまい女子アナなのである。このことについては、夫・古田敦也氏からも誉められたそうで、「唯一、誉められたこと」と中井さんは笑っていた。

 生放送は時間との闘いである。だが、時間を読み過ぎる余り、他の出演者に対し、冷たいリアクションになってしまったり、彼らがやりたいこととは、やや異なる方向に向かってしまうこともある。「うまい」と言われている高島彩アナは実はこのタイプだし、やはり「うまい」ようなことになっているが、実は台本どおりのことしかやれない近藤サトなどは私に言わせりゃ、もう論外だ。

 今年で50歳の中井美穂が『世界陸上』に10回連続で起用されるのには、こんなにもたくさんの理由があったのである。 

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