「田中将大にしても、ダルビッシュ有にしても、斎藤佑樹(早実で甲子園優勝後、早大進学)にしても、巨人は競合を避けたのか、指名すらしていない。
人気が伸び悩んでいる今だからこそ、例えば今年は甲子園のヒーローで知名度の高いオコエ瑠偉を指名するという選択肢もあったかと思います。今年は特に甲子園の視聴率も良かったですから……。巨人には単なる強さだけでなく、人気も必要でしょう。フランチャイズ制が根付いた今、“全国区の巨人”という考え方はもう古いのかもしれませんが、将来的な巨人人気を考えた場合、甲子園スターの指名はファン獲得に必須だと思うのですが……」(同前)
Jリーグ開幕前年の1992年、野球人気の危機が叫ばれていた。このオフ、巨人監督に復帰した長嶋茂雄は、フロントの反対を押し切り、その年の甲子園で5打席連続敬遠され、いちばんの目玉であった高校生の松井秀喜の指名を提案。長嶋の熱意に押された巨人は、松井を指名。4球団競合の末、交渉権を獲得し、甲子園スターの松井は巨人に入団した。
長嶋と松井のタッグの効果もあって野球人気は盛り返し、1994年に巨人と中日が同率首位で最終戦を戦い、巨人が勝利しリーグ優勝を決めた「10.8決戦」では視聴率48.8%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)を記録した。こうした例からも、野球人気回復のカギは、やはり巨人が握っていると言っていいだろう。