もう1つ忘れてはいけないのは、20代後半の俳優との好相性。前述した佐藤健さん、窪田正孝さん、瀬戸康史さんと永野さんが対峙しても、顔や身長などのバランスがよく、10歳以上の年齢差を感じさせず、甘酸っぱいムードを醸し出せるのです。
その甘酸っぱいムードを象徴しているのはキスシーン。10歳以上年上の俳優とキスシーンをすると必然的にいやらしいムードになりがちなのですが、永野さんにはそれがありません。そもそも女子高生女優であるにも関わらず、年上俳優とのキスシーンに挑める思い切りの良さも同世代にはない強みであり、特筆すべきと言えます。
朝ドラは、ひと回りどころか、ふた回り以上年上の多くの中堅・ベテラン俳優に囲まれて芝居をするだけに、ますますその強みが磨かれるでしょう。このまま順調な女優業を歩んでいけば、10代のうちに刑事や医師などさまざまな職業を演じる機会が得られるのではないでしょうか。
つまり、“年上俳優キラー”であることは大器の証。2000年代前半、上戸彩さんは永野さんと同じ17歳のときに『高校教師』(TBS系)で藤木直人さん(年齢差13歳)、『ひと夏のパパへ』(TBS系)で北村一輝さん(年齢差16歳)、18歳のときに『エースをねらえ』(テレビ朝日系)で内野聖陽さん(年齢差17歳)と共演してスターダムに駆け上がりました。朝ドラヒロインの抜てきもあり、永野さんには上戸さんをも上回るステップアップが期待されています。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。