ちなみに宮藤さんは、かつて「大好きなロック映画を作りたかった」と言い、『少年メリケンサック』や『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』などの破天荒な作品を手がけてきました。その他も、『舞妓Haaaan!!!』『鈍獣』『中学生円山』『謝罪の王様』など、映画では破天荒な作品ばかりです。
宮藤さんは何度かインタビューで、「脚本家として1つの作風に絞られるのではなく、どんどん広げていきたい」と話していました。視聴者にしてみれば、「映画とドラマで異なる作風を見られる」という楽しみがあることになります。
最後に話をドラマに戻すと、「宮藤さんが得意とする奇抜なテーマや舞台を他のスタッフも手がけはじめている」という見方もできるでしょう。『女囚セブン』がまさにそれであり、特に23時以降の深夜ドラマにその傾向が見られます。
いずれにしても宮藤さんが同業者や若手のスタッフたちに影響を与えているのは間違いないだけに、今後の『監獄のお姫さま』には圧倒的なインパクトを期待しています。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。