「日本テレビやTBS、フジテレビの音楽特番は昔からありますし、他の番組も含めて、同じ『秘蔵映像』を何回もオンエアしている場合もある。そのため、リアルタイムではない世代でも、何度も見たことのある映像になるという不思議な現象が起こっています。
『テレ東音楽祭』は2014年から始まった上に、テレ東は他の番組でもあまり過去映像を特集しない。だから、本当の意味での『お宝秘蔵映像』になのでしょう。特に、今回特集された1980年代や90年代のアイドルはデビュー間もない頃に必ずと言っていいほどテレ東に出ていますからね」
近年地上波テレビへの出演がない酒井法子のデビュー1年目の貴重なVTRも放送。当時のまま使用したため、〈ナレーション・田代まさし〉というテロップとともにマーシーの声が流れ、ネットは騒然となった。
「過去の映像を流す場合、他局だとほとんど当時のテロップを消します。しかし、『テレ東音楽祭』は最小限に留め、かなりの部分は歌詞も含めて当時のままオンエアした。当時の映像は当時のまま見たいという視聴者の欲求に答えたと言えるでしょう。
別に〈ナレーション・田代まさし〉というテロップを消しても、酒井法子の映像を使わなくても、番組は成立する。でも、視聴者は細部を見て“勝負しているかどうか”を判断している」
他にも、可能な限り当時を再現する制作姿勢が垣間見えたという。
「デビュー前のシブがき隊がイモ欽トリオの『ハイスクールララバイ』を歌っている場面を流す時、『シブがき隊』ではなく『シブがきトリオ』と当時の表記で伝えていた。こういう細部にこだわると、『この番組はわかっている!』とファンは納得する。
また、〈平成元年~30年「スーパーヒット曲」一挙公開!〉と題して、平成30年間のヒット曲をVTRで振り返る企画がありました。1990年から2005年までのヒット曲には売り上げ枚数を表示していましたが、2006年からは出さなくなった。その前にナレーションで『CDが売れなくなって、ダウンロード時代に突入。2006年からご覧下さい』と伝えている。こういう細かい配慮は、視聴者に『逃げてない』という印象を与えます」