芸能

『大恋愛』の戸田恵梨香、この秋の恋愛ドラマの本命か

脚本は名手・大石静氏が担当(番組公式HPより)

 このクールには恋愛ドラマの注目作が揃った。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 ガッキーの『獣になれない私たち』(日本テレビ系)のキャッチコピーは“ラブかもしれないストーリー”。「かもしれない」というあたりがポイント。

「男と女の恋愛ってリアルには簡単に始まらないだろうとか、年を重ねると恋におちること自体がどんどん難しくなってくるとか、そもそも恋愛って何だっけ?とか、いろんなことを考えられるストーリーになっています」(「オリコンニュース」2018.10.9)とプロデューサーも語るように、直球の恋愛ドラマとは言えないのかもしれません。

 ということで、『けもなれ』以外の秋スタートドラマで、「恋愛ど真ん中の3作」に注目。その期待度や見所をピックアップしてみると──。

●『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系金曜午後10時)

 戸田恵梨香さんの目がうるんでいてみずみずしい。まさしく恋する瞳そのもの。感情が揺さぶられ涙腺が活発になっているからキラキラ輝いて見える。『大恋愛~僕を忘れる君と』は、その名の通り直球の純愛物語を予感させます。

 婦人科医・北澤尚(戸田恵梨香)は、同じく医師の井原侑市(松岡昌宏)と婚約している。結婚を間近に控えた尚は、引っ越しの際にアルバイト作業員・間宮真司(ムロツヨシ)と出会う。実は、真司は尚が大好きな小説の作者だった。それがじわりじわりと明らかになっていき、真司にグイグイと惹かれていく尚。

 何と言ってもこのドラマ、キャスティングが絶妙です。恋愛に没入していく尚の姿が実にイキイキとリアルに描かれ、説得力を持って迫ってきます。ストレートに感情を揺さぶれる女。会いに行きたい、と男の元へ走る女。きっぱりと婚約者に別れを告げる女を、戸田さんが体当たりで好演しています。

 一方の真司を演じるムロツヨシさんも当たり役。積極的な尚に対して、ちょっと慌てつつ柔らかく受け入れていく三枚目の役。その温かな空気がいい。とんがり系女医とクマのぬいぐるみ的ふんわり系男子。今様の恋愛物語として上手く成立しています。

 個人的には、これまでムロツヨシさんのおふざけ演技が、正直ちょっと苦手でした。しかし今作はいい意味で抑制が効いている。オレでいいの、と当惑しながら惹かれていく真司の心理が、ひしひしと伝わってくる。まっすぐの演技に軸足を置きつつ時々弾けてふざけてみせる、といった配分が、俳優ムロさんを一層輝やかせているのではないかな、と感じます。

 ただ、この恋愛物語は「若年性アルツハイマー」が切り札。だから、先の展開がちょっと心配でもある。類似の物語はわんさかあるし、これまで泣かされる経験をしてきた視聴者も多いはずです。『私の頭の中の消しゴム』などが強く印象に刻まれているために、ドラマと過去作品とをいちいち比較しながら見てしまいそう。今回の脚本は大石静さんの書き下ろし。「記憶がなくなっていく悲恋」という手垢がついたテーマを、いかにオリジナリティ・新味を加えて料理してみせるか。興味津々です。

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン