しかし、皇太子は父親である天皇の意思を受け継ぐ責任感を持ち、皇后となる雅子さまもずいぶん快復されました。車窓から国民に向かって手を振る愛子さまのお姿からは、皇族の一員であるとの強い自覚がうかがえますし、悠仁さまの健やかな成長は、国民に大きな喜びを与えます。

 天皇は、国民統合の象徴であり、同時に神道のトップであるという二面性を持ちます。ただし庶民からしてみれば、戦後に民主化されて開かれた皇室は、誰もが知っている身近な存在でもあります。

 雅子さまの病状や愛子さまの不登校、眞子さまの婚約など、庶民と同じような問題を抱える皇族の動向について、私たちは身近な存在として受け止めて一喜一憂します。これは、現在の天皇皇后が国民統合の象徴として国民に寄り添い、国民とともに歩まれてきたことの賜物でしょう。

 その意思を受け継ぐ皇太子が新たな天皇となり、新しい時代が始まります。

 読者のあなたにとっても、平成は喜びと悲しみが入り混じった時代だったかもしれません。バブルがはじけた後にデフレが続き、様々な自然災害が発生した。悲しみは平成と一緒に終わりにして、元号が変わることで、明るい希望とともに新時代を迎えたいものです。

●いけがみ・あきら/1950年、長野県生まれ。慶應義塾大学卒業後、1973年NHK入局。報道局記者や番組キャスターなどを務め、2005年にNHKを退職。ジャーナリスト、名城大学教授、東京工業大学特命教授。著書に『池上彰の世界の見方 ロシア』『考える力がつく本』(小学館刊)、『池上彰の「天皇とは何ですか?」』(PHP研究所)などがある。

※週刊ポスト2019年1月1・4日号

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