もう1つの理由は、「重苦しいムードのドラマではないよ」というアピール。

 近年、「仕事から帰ってきて、重苦しいムードのドラマは見たくない」という視聴者が多く、実際「シリアスな作品は視聴率やSNSでの評判がふるわない」というケースが続きました。そうした視聴傾向を受けてシリアスな作品は減り、笑いを散りばめたコメディが年々増えています。

 とりわけ仕事や学校のある平日のドラマにはその傾向が強く、さらに夏は「スカッと気分爽快」「カラッと明るい」作風が求められる季節。各局のスタッフが「むしろ笑われるくらいのビジュアルを見せたほうがいいだろう」と考えるのは自然なことにも見えます。

 たとえば『ルパンの娘』は、泥棒一家の娘と警察一家の息子のラブストーリーですが、強烈なビジュアルによってコメディテイストが倍増。放送前から笑いを誘うことで、「重苦しい作品ではないから気軽に見てください」というメッセージを送っているのです。

 ただ、当然ながらスタート後は、ビジュアルのインパクトではなく内容で勝負しなければなりません。各作品のスタッフたちにとっては腕の見せどころであり、「出オチ」と言われないために、話題性を高める脚本や演出を用意しているでしょう。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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