だが、二人とは仲良し。さらに、映画・舞台『幕が上がる』で共演した、ももいろクローバーZの玉井詩織ともプライベートで交流があり、玉井からは「ももくろの隠れメンバー」とも言われている。ちなみに松岡は、大のハロプロファンで有名で、伊藤は、ももクロと親しいということから、彼女たちの“若さ”がわかろう。

 だが、芸歴は17年とベテランなのである。今年5月で26才になる伊藤には、当然のことながら“中高生”ではなく、“OL”の役が増えている。

 最近作で私が好きだったのは、『獣になれない私たち』(日本テレビ系)と『これは経費で落ちません!』(NHK)だ。顔は薄いし地味なのだが、とにかく存在感抜群。ウチの会社に、こういう社員、いるかも…と多くの人に思わせ、「主演ではないのだけれど、演出家から名指しされる女優」というポジションに、いっきに上り詰めた気がする。

◆“知る人ぞ知る女優”から次のステップへ

 実は、あの『全裸監督』(Netflix)にも出演。1月16日からは、斎藤工とリリー・フランキーのW主演で、5週連続でオンエアされている深夜ドラマ『ペンション・恋は桃色』(フジテレビ系)にも伊藤沙莉は出演しているのだ。「ゴールデンでは無理」と言われる同作だが、斎藤は「そこにリリーさんがいる、沙莉ちゃんがいるということで『どの球も打てるな』っていう構図だと思いました」と言っている。『全裸監督』と『ペンション~』、伊藤沙莉が、“通好み”な女優であることがよくわかる2本と言えよう。

 昨今、しっかりした芝居ができると演出家や視聴者を唸らせているのは、件の松岡茉優や『教場』(フジテレビ系)で魅せた大島優子、『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)の吉川愛ら、子役出身の女優たち。

 伊藤もこの潮流にのっているうえ、「知る人ぞ知る」存在から、「この子、知ってる」から「いいよね」「大好き」と言われる存在になりつつある。

 突然増えたCMをはじめ、今年はさらにオファーが増えそうな予感。実兄が、『M-1グランプリ2019』で初めて決勝に進出したお笑いコンビ「オズワルド」の伊藤俊介であることも、お笑い界ではずいぶん前から話題だった。バラエティー専門放送作家の私からすると、妹の沙莉にも“笑い”の才能が間違いなくあることがわかり、トークバラエティにオファーしたくてウズウズしているところだ。

 果たして、多くのエンターテインメントのシーンで、やっと伊藤沙莉の時代がやってきた。彼女の顔と名前、覚えておいて損はない。

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