初めてガールスカウト活動に参加され、充実の表情を見せられた(2010年8月、長野県長野市。写真/JMPA)

初めてガールスカウト活動に参加され、充実の表情を見せられた(2010年8月、長野県長野市。写真/JMPA)

上皇ご夫妻は女性天皇を視野に

 皇室典範では、「皇位は、皇統に属する男系の男子たる皇族が、これを継承する」と定められている。したがって、現在の皇室において皇位継承資格を有しているのは、秋篠宮さま、悠仁さま、常陸宮さまの3人しかいない。

「87才の常陸宮さまはご高齢で、秋篠宮さまは陛下と同年代。実質的に、次代の皇位継承者は悠仁さまただおひとりという非常に不安定な状態です。“万が一”がいつ起きるとも限りません。安定的な皇位継承については一朝一夕に結論が出る問題ではないので、早急に議論を開始すべきです」(前出・宮内庁関係者)

 未来永劫、安定的な皇位継承を続けていくためには、大きく分けて2つの方策がある。ひとつは、旧皇族とその子孫に当たる、皇統に属する男系の男子を養子縁組などの形で皇族に復帰させるというものだ。「男系男子」とは、天皇の血筋を父方から受け継ぐ男性のことを指す。

「自民党内の保守派議員やその支持者層には、『旧皇族に属する男系男子の皇族復帰案』を推す人が少なくありません。

 ただ、該当する旧皇族側が必ずしもこの案を肯定的に捉えているかというと、そうではない。『皇族復帰など、とんでもない』と困惑し、及び腰となっている旧皇族男子もいるそうです。菅官房長官時代、内々にヒアリングを行っていたそうですから、政府もそうした内情は把握しているでしょう。また、国民の側も、皇族に復帰した“元民間人”に敬愛の気持ちを抱くことができるのかどうか、疑問が残ります」(政府関係者)

 もうひとつの方策は、女性天皇・女系天皇を認めるというものだ。天皇の血筋を父方から受け継いだ女性の天皇を「女性天皇」、母方から受け継いだ天皇は女性、男性ともに「女系天皇」という。

 天皇家は一貫して男系男子によって継承されてきたとされており、「万世一系」という男系維持の観点から、女系天皇に対しては根強い反対の声がある。しかし、こと「女性天皇」については近年、風向きが変わってきている。

「上皇ご夫妻は、生前退位の際に、安定的な皇位継承についてもずいぶんと気にされていた。『皇統を途絶えさせない』という皇室の至上命題を最優先にお考えになり、女性・女系天皇実現についても思案されていたそうです。政府側は『上皇ご夫妻は女性天皇容認に異を唱えられることはないだろう』と認識していました」(前出・政府関係者)

 岸田首相も麻生氏も、女系天皇容認こそ反対という立場を取っているが、女性天皇については明言していない。

「男女平等が標榜される時代において、男系である女性天皇までも否定する正当性があるのかどうか。自民党内でも『女系天皇は難しいけれど女性天皇なら……』という意見が増えてきています」(自民党関係者)

 天皇家の「男系女子」は愛子さまただおひとりであり、女性天皇容認の議論をするにあたって、その存在は避けて通れない。前述の2022年の有識者会議の報告書では、悠仁さままでの皇位継承の流れを「ゆるがせにしてはならない」と明記してある。しかし別の政府関係者は、岸田首相は「愛子天皇」を念頭に置くのではないかとみる。

「国民の8割が女性天皇の実現に賛成という世論調査もあります。つまり、大多数の国民は『愛子天皇』を歓迎しているということなのです。

 もし岸田総理が女性天皇容認を俎上に載せれば、世論は『愛子天皇実現』に傾くでしょう。これまで総理は『女性活躍』の重要性を主張してきましたから、信条ともリンクする。これほど支持率上昇の期待ができる政策はありません。実際、日本の女性たちをどれだけ勇気づけることになるかわかりませんし、経済効果は計り知れません。男女平等の改革は、海外からの評価も得られるはずです。

 総裁選前の衆院解散・総選挙をにらむと、来春までに党内の意見を一本化し、決着をつけるというスケジュールしかない。今後、宮内庁も含め、新組織の内外で極秘協議が活発に行われるでしょう」(前出・別の政府関係者)

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