日本も対岸の火事ではない。厚労省が2018年に発表した調査によれば、「ネット依存」が疑われる中高生は国内で93万人に上るという。7人に1人の割合だ。しかもその調査はすでに5年以上前のものであり、事態は加速度的に悪化しているとみていい。
「特にXとインスタグラムで散見されますが、バイト先、飲食店、大学のサークルの宿泊先などでの問題行動をおもしろおかしく投稿して大問題になる事例は後を絶ちません。残念ながら日本は、ネットリテラシーが成熟しているとはお世辞にも言えない状況です」(前出・全国紙社会部記者)
ネットリテラシーが低いのは若者だけの問題ではない。「弁護士ドットコム」が2022年に発表した調査によれば、誹謗中傷をした動機としていちばん多かったのは「正当な批判・論評だと思った」という理由だったという。
「今後、『いいね』欲しさに、宮内庁のインスタグラムで発信された画像を不適切に加工して公開する人や、インスタグラムの情報に対して“正当な批判”だとして誹謗中傷する人が出てこないとも限りません。現に、Xではこれまでに宮内庁によって公開された皇室の方々のご近影などを利用し、揚げ足を取ったり揶揄したりする投稿が散見されます。インスタグラムの投稿が悪用されないことを祈るばかりです」(前出・宮内庁関係者)
そうしたSNSの功罪は、美智子さまも充分に認識されているはずだ。当然ながら、宮内庁のSNS開設は、両陛下をはじめ、皇族方にご説明をしているという。
「美智子さまは令和皇室において、両陛下の意思を尊重されています。SNSの開設自体には異を唱えられることもなかったはずです。インスタグラムは当面、両陛下のご活動を中心に発信して様子を見るようで、美智子さまはまだご登場されていません。懸念が払拭されない以上、SNSは拒絶されるのではないでしょうか。さまざまな情報を勘案して慎重に判断されるのが、美智子さまの心眼なのです」(前出・宮内庁関係者)
運用は始まったばかり。令和皇室は難しい舵取りを迫られている。
※女性セブン2024年4月25日号