街頭演説で熱弁を振るう参政党の神谷代表(時事通信フォト)

街頭演説で熱弁を振るう参政党の神谷代表(時事通信フォト)

「子供をたくさんつくっていただく」 

 参政党が急激に存在感を増す中、代表の神谷宗幣議員(47才)の過去の発言も注目を浴びた。2023年、参政党の公式YouTubeチャンネルにアップされた動画内での発言だ。 

「神谷氏が『天皇陛下には側室を持ってもらって、子供をたくさんつくっていただく』という旨の発言をしたのです。いわば“本妻以外の妻”を持つことをすすめたわけですが、その後、関係者から“不敬だ”との指摘があり、動画の該当部分は削除されています。 

 発言についての事実関係を質問したメディアに対し、参政党は《皇位継承問題について、その深刻さを訴えるためでした》《実際にそのような在り方を求めたものではありません》と、神谷氏の発言の意図を説明しました」(皇室ジャーナリスト) 

 後に訂正されたとはいえ、この発言は愛子さまにとって看過できないものだろう。 

「参政党の主張は、天皇の血筋を『男系男子』でつないでいくこと。つまり、“子供をたくさんつくっていただく”というのは、男の子が生まれるまで天皇陛下に子供をつくり続けてもらう、ということです。 

 戦後の皇室は国民の象徴として、家族観のロールモデルを示す役割も果たされてきた。上皇ご夫妻は、それまでの慣習を廃し、天皇陛下をお手元で育てられました。神谷氏の発言は、美智子さまや雅子さまが、上皇さまや天皇陛下をお支えしながら形作られてきた戦後の皇室の歩みを否定するようなもの。あたたかいご家庭で、両親の愛情を一身に受けて育たれた愛子さまにとっては、衝撃的な発言でしょう」(前出・宮内庁関係者) 

 さらに、各所で波紋を広げているのが、参政党が掲げる「新日本憲法」だ。 

「参政党は今年5月、独自の憲法草案を公表。『改憲』ではなく、一から憲法を作り直す『創憲』を訴えています。500人以上のメンバーが集まり、2年間の歳月をかけて作成されたそうです」(前出・政治部記者) 

 第一条には「天皇」という項目が据えられている。 

「そこでは、《天皇は、国民の幸せを祈る神聖な存在として侵してはならない》と定められています。これは戦前の大日本帝国憲法に記載された《天皇は神聖にして侵すべからず》に通ずる表現で、その後も『象徴』という文言は一切出てきません。このため、参政党は戦後の象徴天皇制のあり方を否定しているようにも見られているのです」(前出・皇室ジャーナリスト) 

 参政党はさらに、国民の間で期待が高まる「愛子天皇」に対して、真っ向から“NO”を突きつけている。 

「参政党は、男系男子による皇位継承に強くこだわっています。神谷氏は、過去に党の公式YouTubeの動画で“男系でつないでいくための中継ぎとして、女性天皇が即位する可能性も否定しない”という旨の発言をしたこともありましたが、選挙後に出演したニュース番組で、保守派の論客から“党の主張と反する”と指摘された。 

 これに対して、神谷氏は“(動画を)消すようにします”とその場で明言しました。参政党は党として、『愛子天皇』を否定すると宣言した格好です」(別の皇室ジャーナリスト)   

 こうした状況に、愛子さまは胸を痛めておられることだろう。少しずつ進んでいた女性皇族の将来に関する議論が、参政党の躍進によって大きく停滞する可能性が出てきたからだ。 

「先の国会で行われていた皇室典範改正に向けた議論は、ここ数年の中でも皇族方の将来について一定の方向性を示す大きなチャンスでした。さらに今年5月には、保守派の言論をリードする『読売新聞』が“女系天皇の可能性も排除しない現実的な方策を”と大々的に提言するなど、保守層が少しずつ柔軟な姿勢を示しはじめていた。 

 しかし今回、参政党のような“極右”政党が存在感を増したことで、もう一度議論が振り出しに戻りかねません」(前出・別の皇室ジャーナリスト) 

 さらに、新興勢力の台頭による政治的な混迷で、永田町は“皇室典範改正どころではない”という状況に直面している。 

「自民党の大敗、参政党の躍進で秋以降の政局は見通しが立たないでしょう。安定した皇位の継承に危機感は持ちつつも、正直、優先順位は下がってしまっている。いま、皇室典範の改正に動く体力のある政党はどこにもないでしょう。 

『8月退陣へ』という報道が一斉になされたことを気にして、石破首相は再び“続投”を示唆するような発言で軌道修正をはかっていますが、退陣は不可避。8月末の国際会議を終えた後の退陣が基本線です。9月には総裁選が行われるのではないでしょうか」(別の政治部記者) 

 戦後の皇室が築いてきた象徴天皇制を否定するかのような政党が躍進を遂げ、さらに皇室典範改正への議論もままならなくなってしまったいま、愛子さまにはこれまで以上に強い逆風が吹いているといっていい。 

「愛子さまは、上皇ご夫妻をはじめ、天皇皇后両陛下の“ふるまい”を幼い頃から見て、国民に寄り添う皇室のあり方を学んでこられました。 

『愛子天皇待望論』が国民の間で湧き上がるきっかけとなったのは、愛子さまの成年会見での輝かしいお姿ですが、そこで愛子さまは“これからも長く一緒に時間を過ごせますように”と、両陛下へ伝えたい言葉を語られました。深い“母娘関係”にある雅子さまに対して、“末永くおそばでお支えしたい”というご覚悟の表れにほかなりません。時代の流れの中で過激な主張を繰り広げる勢力が台頭しても、その信念が揺らぐことはないでしょう」(前出・宮内庁関係者) 

 ご自身の将来への議論が暗礁に乗り上げる中、愛子さまは日々成年皇族の大きな柱としての役割を果たされている。 

「日本赤十字社での勤務とご公務との両立に励まれています。11月には初めての単独海外公式訪問となる、ラオスへのご訪問を控えています。愛子さまは、8月には担当部署の繁忙期を迎えられますが、お仕事とご公務の合間を縫ってすでに資料などを読み込まれている。愛子さまは上皇ご夫妻やご両親から学ばれた皇族としての姿勢を体現するべく、日々邁進されています」(別の宮内庁関係者) 

 どんな逆境にも負けず、愛子さまは、ただただ前を向かれている。 

女性セブン2025814日号 

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