さらにCMスポンサーからの広告収入が少なくなり、どの局も番組のコストカットが厳命される中、これまでのように高い出演料をねん出できなくなったことも要因だろう。局の女性アナに比べればフリーアナの待遇は破格だが、男性よりはおさえられるという。
また、帯番組のMCに必要なのは「知名度」。その点、出たての新人より、顔が知られるフリーアナウンサーのほうがは有利だ。また帯番組は情報・ニュース系の番組が多いため、アナウンス技術を有し、原稿読みに慣れている彼女たちは、女性タレントより起用されやすい。さらに男性アナウンサーの去就に比べ、女性アナのフリー転身は、恋愛や結婚といったプライベートな話とセットで注目されるため、その後の動きに関しても話題にあがることが多い。
さらに帯番組は基本的に生放送。臨機応変に対応する力に関しても彼女たちはクリアしている。夏目は『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ)を担当。安藤優子は『FNNスーパーニュース』(フジテレビ)を昨年まで15年務めた。雨宮塔子も局アナ時代、『あなたにオンタイム』『ザ・フレッシュ!』といった生放送の情報番組を経験。田中みな実もかつて『サンデージャポン』(以上、TBS系)のアシスタントとして出演しており、番組の制作発表記者会見でも「在局中に日曜日の朝の番組でずいぶん鍛えられましたので」と意気込みを語っていた。
また田中みな実、高橋真麻というフリーに転身してまだ間もない彼女たちが帯番組を引き受けるのは、今や多くの女性アナが同じような道を歩み、ポジション争いが激しくなる中で、早めに自分の居場所、ホームグラウンドを確保しておきたいという理由もあるだろう。もちろん帯番組での露出はそれだけ信頼性があると見込まれ、タレントとしてのランクも上がると言われる。
そんな女性フリーアナウンサーの帯番組の戦いは、今後もフリーに転身する女性アナがいる限り、活況は続くだろう。例えば今年4月にフジテレビを退社した加藤綾子、また『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)で宮根誠司のアシスタントとして知名度を上げた川田裕美なども注目の的だ。
いずれにしても、かつては男性MCの脇でアシスタントに徹していた女性アナウンサーが、今やメインを張り、自らの声で思いを届けるようになったことは大きな変革だ。これからもさらに注目していきたい。 (芸能ライター・飯山みつる)