40~70代の性事情を書いた『セックスレス時代の中高年「性」白書』の共著者で、日本性科学会セクシュアリティ研究会代表の荒木乳根子(ちねこ)さん(臨床心理学)が解説する。
「年配の日本人女性が持っている“婚前交渉はしてはいけない”“不倫はしてはいけない”という貞操観念は、儒教に基づく男性主体の性道徳によるものです。家の血統維持のために、戦前には男性には妾を持つことが容認される一方で、妻の不倫は罰せられる『姦通罪』がありました。終戦後すぐ、男女平等が謳われて姦通罪は廃止されましたが、その当時の性道徳が色濃く残る時代に育ってきた60代、70代以上の女性には“操を守る”“一生添い遂げる”といった考え方が根強く残っているのではないでしょうか。
一方で、団塊世代以降の女性は、1960年代に欧米で起こった、女性の性の自由を求める『ウーマン・リブ(女性解放運動)』などの影響を受けて、“女性も自由に恋愛してもいいじゃないか”という感覚が広まったのかもしれません。女性の経験人数の世代間格差には、社会における男女平等や、女性の地位の向上と密接にかかわっているんです」
※女性セブン2017年6月1日号