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開幕投手で相手チームを幻惑し続けた中日・落合監督

 川崎は2回途中5失点で降板したものの、打線が奮起し、広島のエース・黒田博樹を攻略。8対6で逆転勝ちを収めた。ルーキーや新外国人、メジャーから復帰した2003年のオリックス・吉井理人を除けば、前年登板なし投手の開幕先発は初めてだった。この奇策は他球団に落合采配を警戒させるのに十分なインパクトを与え、同年中日は5年ぶりのリーグ優勝を果たした。

 翌年から2008年までの開幕投手はエースの川上憲伸と正攻法だった。その川上がアトランタ・ブレーブスへ移籍した2009年、落合監督は3年目の浅尾拓也を抜擢した。前年は全てリリーフでの登板で、先発は1年目の8月17日以来だった浅尾は8回1失点と期待に応え、チームは4対1で横浜を破った。

「川上は去りましたが、吉見一起は前年に初の2桁勝利を挙げていました。先発にはチェンや中田賢一もいた。その中で、前年のセットアッパーである浅尾の起用は驚きました。浅尾は5月13日を最後にリリーフに回り、引退まで先発することはありませんでしたから、周囲には奇策に見えたでしょう」

◆前年4勝以下の投手を3度開幕投手に選出

 2011年には、前年4勝のネルソンに開幕を任せた。この年は春季キャンプでチェン、吉見、山本昌と投手陣に故障者が続出。誰が来るのか予想しづらい中、落合監督は開幕戦の出場選手登録に朝倉健太、岩田慎司、小笠原孝、中田賢一、ネルソン、山内壮馬というローテーション投手を全て入れた。通常、先発投手の登録は数名に絞り、リリーフや野手を補充するが、相手の横浜を幻惑する作戦を取ったのだ。開幕戦は敗れたものの、その年、中日は首位・ヤクルトとの最大10ゲーム差を逆転し、連覇を果たした。

 落合監督は中日で指揮を執った2004年から8年間で、前年4勝以下の投手を3度も開幕に選んだことになる。同期間の12球団では、2008年のヤクルト・石川雅規(前年4勝)と阪神・安藤優也(前年2勝)の2人だけ。石川は前年不調に陥り、チームの最下位もあって勝ち星が伸びなかったが、2006年まで5年連続2桁勝利。安藤は前年故障で8試合の登板に終わっていたが、2005年から2年連続2桁勝利という実績があった。

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