いまの『とくダネ!』は、森本さやかアナや、30~40歳代のリポーターが仕切るコーナーはあるものの、今回、喪服を着て集まったベテラン女性リポーター3人の姿を見ることはほとんどない。かつては毎日、MC席に居た前忠さんとて同じ。「くらいつきなさい」は、取材対象という意味だけではなく、番組や番組スタッフにという意味も含まれていたのではないか。
そして、おまきさんも、たまにしか、お呼びがかからなくなっていたことで、「くやしい」思いをしていらしたのでは…。出演者やスタッフへの長文の叱咤激励メールが何よりの証拠だ。おまきさんは誰よりも『とくダネ!』を愛し、番組向上のため、隅々まで番組をチェックしていた“現役リポーター”であり、“現役スタッフ”だったのである。
フジテレビに限らず、番組がリニューアルするとき、いちばん最初に切られるのはギャラがかさむベテランリポーターたちである。かつて『ルックルック!こんにちは』(日本テレビ系)が終了し、『レッツ!』や、その後、『ザ!情報ツウ』が始まるときも、ベテランリポーターが次々、切られた。
横の繋がりがある職業なので、その後、テレビ朝日やTBSに“異動”できた人たちもいたが、それらの局でも、番組タイトルが変わると、ベテランリポーターはみな“卒業”となり、現場が大好きな人たちなのに、番組ナレーターにされてしまう人もなかにはいた。
いまでは『ZIP!』(日本テレビ系)のように、『王様のブランチ』(TBS系)と見紛うように若い女性リポーターで統一している番組もあれば、予算削減のため、局アナや若手にリポーターをさせている番組も多い。
テレビでなく、ラジオだったが、20代の頃、朝顔市や羽子板市など、毎年同じ現場に行ってリポートすることに限界と不満を感じていた私に10年選手の先輩が「同じ現場でも、毎年、何かが少しずつ違うの。それがわかるのは長く続けている人だけ」と教えてくれた。いまになって、その言葉が痛いほど理解できる…。
そして、おまきさんこと武藤まき子さんが“現場”で他局のスタッフや、紙媒体の記者、カメラマンに惜しみなく指導してくれたことは山ほどある。厳しい人であったことには間違いないが、そこには必ず細やかな優しさと愛が溢れていた。
だからスポーツ紙や夕刊紙の“後輩”たちも、おまきさんの追悼文を書いたのだ。
残念ながら、もう、武藤まき子さんのような人を生めるほどテレビに体力は残されていないが、おまきさんの“想い”を受け継ぐことはできるハズ。そのギリギリの年代である私も、できる限り、伝えていきたいと思う。「つたえびと」おまきさんこと武藤まき子さんの御冥福を心よりお祈り申し上げます。