国内

ネットの反差別運動の歴史とその実態【4/4】

◆「#安倍を吊るせ」がリトマス試験紙に

 さて、本稿の最後に来たが、冒頭で書いた野間の「前川さんにしろ詩織さんにしろ、ガツンと前に出てちゃんとレジストするやつがいるんだよ。全力でバックアップだよ。」に繋がってくる。そこには、前川氏や女性に対する「バックアップ」というよりは政局に利用してやろう、という意図が透けて見える。この原稿を書いているのは2017年6月3日、こんなツイートがあった。野間が作ったハッシュタグ「#安倍を吊るせ」を受けてのものである。

「野間易通がwwwwwwwwwwwwwwwwwサヨクからもwwwwwwwwwwwwwww批判されてるwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 このツイートに貼られた画像で、リベラル派と見られるツイッターユーザーによる野間に対する意見が紹介されている。「何がしたいの? リベラル陣営を負けさせたいのか?もう表に出てくるな」「悪いですけど、私も大変不快。こういうやり方はやめましょうよ」「あなたの発言に不快感を示している人は全員ネトウヨとでも言うつもりですか?」といった意見だ。

 この件については「これまともな市民活動家の方々や左翼な人を見分けるリトマス試験紙になってる気がする 彼らからしたらこう言うのは邪魔だろうし」という意見も見られた。多分これが結論なのだ。「しばき隊」を始めとした「反差別界隈」は当初の姿とはすっかり変わってきた。ネット上の好事家が彼らを生暖かく見守って楽しみ、時に批判をしている状況だろうが、彼らの言動が一般に広がったらどうなるか? 恐らく支持はまったくされないだろう。「総理大臣は安倍さんでいいじゃん。蓮舫よりずっといいよ」で終わりだ。

 すっかり政治色を帯びた反差別界隈だが、そこを利用しようとする野党も情けない。国会前デモや反原発デモでは民進党、社民党、共産党の議員がかけつけ、デモ隊と共に太鼓とラップで大騒ぎ。取りあえず、熱量のある人から「国会議員先生まで来てくれた!」と拍手喝采を浴びるものだからこの運動が全国民から支持されていると誤解してしまうのである。まともな野党があった方が国は良くなるわけで、野党の議員が反差別界隈も含めた左翼の「神輿担ぎ」に乗って和気藹々としている以上、政権奪還など無理だろう。反差別界隈も「ヘイト」を安易に濫用しすっかりその言葉の重みを下げてしまった。日常生活において命の危険性もなく、ツイッターでどれだけ罵倒されようが国家から突然逮捕されることもないような日本において、政権を邪悪な存在だと規定し罵詈雑言を垂れ流す反差別界隈。結局彼らこそ差別主義者であり、「オレが思う正義が正義だ」という考えのもと、ネトウヨ認定、レイシスト認定を次々としては敵を作っていく。まさにザ・自己中であり、社会性のなさが際立つ。

 こんな連中についてオレは何を長々と原稿書いてきたのだろうか。徹夜をして書き終えた朝4時53分、正直バカらしいと思う。ただ、2011年あたりから2017年にかけてネットを中心に発生した騒動をとりあえずまとめるのも意義があるのかな、ということで、自分を納得させる。長文をお読みいただきまして心から感謝いたします。(了)

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