芸能

業界内でも高評価 au「三太郎」CMヒットの理由

 が、某コピーライター氏は「大物芸能人を出せばいいという傾向には僕たちも辟易しているんだけど…」とボヤいていた。

 現場の声はそうでも、大物芸能人の起用がクライアントの要望であれば、それはしかたがあるまい。

 テレビCMにおける安定傾向は、朝ドラ=NHKの連続テレビ小説で人気を博した俳優たちが持てはやされていることでもわかる。最近の新作CMは、たとえば女性タレントなら、件の有村架純や吉田羊、松岡茉優ばかりと言っても過言ではないのだが、『あまちゃん』『純と愛』『あまちゃん』…と全員が朝ドラで名を上げた人たちである。

 みずほグループのように、『マッサン』の玉山鉄二、『花子とアン』の鈴木亮平、そして『あまちゃん』の福士蒼汰が共演しているCMもあるし、『花子とアン』で鈴木亮平と夫婦役をしていた吉高由里子は三井住友銀行のCMキャラクターだ。

 これでは、作り手側はつまらないだろうなぁ…、創作意欲もわいてこないかもしれないなぁ…とお察しする。

 そんななか、若手俳優が多数出て来て、何やら楽しそうで、しかも量産ということで、あの「白戸家」シリーズにはやや劣るものの、次々と新作を世に送り出している「三太郎」シリーズは、関わっていない広告関係者までもが「良かった」「これをいま評価しないでどうする」と声を揃えるのだ。

 一方で、「これまでホントに好き勝手やってきた」(某関係者談)し、長年、高い評価を受けている作品を多数手がけてきた著名なクリエイティブディレクターのチームが、「やや飽きられてきたのかも」という見方も関係者の分析にはあるそうな。

 とはいえ、そのチームが手がけ、あばれる君、いとうあさこ、今田耕司、椿鬼奴、堤下敦ら、お笑い芸人を次々起用し、ホロリとさせているサントリーBOSSの「宇宙人ジョーンズ」シリーズはまだまだ高評価。もちろん、ソフトバンクの「白戸家」シリーズも、ライバルのKDDI/auに敗れたから目立っているだけで、好感度が落ちたわけではないだろう。

 いずれにせよ、KDDI/auの「三太郎」シリーズは当分のあいだ、トップを走り続けるに違いない。作品の素晴らしさはもちろんだが、CMコンテストにおける高評価は、「ライバル不在」が最大の理由であるようだ。

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