「みなさま、もうお気づきのことと思います。口に出すのをはばかられるので黙っていらっしゃるのでしょうけど、だからこそちゃんと私がいいます。今日、船越の両親は来ていません」

 2001年10月31日、今はなき『赤坂プリンスホテル』で行われた船越と松居の挙式披露宴は、新郎の所属事務所であるホリプロ・堀威夫会長のこんな挨拶で始まった。

 門出から山あり谷ありの夫婦だった。

 1987年にDCブランド創業者と結婚、1990年に長男をもうけた松居だが、夫の度重なる浮気と借金問題に悩み、1996年に離婚していた。

 船越よりも3才年上で、連れ子を持つ松居との結婚に、船越の両親は猛反対した。

 神奈川県湯河原で旅館を運営し、息子に後を継がせようとしていた父・船越英二さん(享年84)には、バツイチ子持ちという松居の経歴は受け入れがたいものだった。

「披露宴を欠席しただけではありません。英二さんは2007年に亡くなるまで、松居さんとは生涯一度も会っていない。

 大正生まれの英二さんにとって、夫婦の形は“夫唱婦随”が当たり前。結婚後にテレビで夫の恐妻ぶりをおもしろおかしく話す松居さんの存在は、最期まで許せなかったのです」(船越家の知人)

 実家で暮らしていた船越の妹、洋子さんは、新聞のテレビ欄を毎日見て、松居の出演する番組が父の目に触れないよう気を使ったほどだった。

 断絶したまま父は逝ったが、救いもあった。父の死をきっかけに、母と松居の関係が修復に向かったのだ。

「洋子さんの尽力によるものでした。“母には同じ思いをさせたくない”と、父の葬儀で松居さんと母の初対面を実現させたのです。以後、食事の席をもうけたり、嫁姑の仲を繋ぐことに腐心してきました」(前出・船越家の知人)

 いつしか松居は船越の母とディズニーランドに行くまでになった。

 だが2010年3月、洋子さんは重度のうつ病で自殺した(享年47)。葬儀の場で、遺影を抱えて号泣する船越と松居の姿が参列者の涙を誘った。

 家族との断絶と修復、身内の悲劇、それら全てを乗り越えて、船越と松居の絆は一層深まっていくように見えた。

 ベストカップル賞やベストファミリー賞を次々に受賞し、「恐妻の松居と尻に敷かれる船越」というおしどり夫婦像が世間にも浸透していった。

 若い女優からのメールに嫉妬した松居が、「船越の携帯を鍋で煮た」という事件を本誌(2003年11月)が報じたのを皮切りに、「小遣い3万円」「電話は朝昼晩晩晩の1日5回」など、彼女の恐妻エピソードがたびたびメディアを賑わせてきた。

 2013年4月には、あるバラエティー番組で、「浮気を疑うあまり、今年だけで船越の携帯を3回折っている」と明かし、スタジオを騒然とさせた。

 松居のぶっちゃけるそれは、笑い話として世間に消費されていった。

 だがひとり、船越は笑っていなかった。

◆「もう疲れちゃったよ…」

関連記事

トピックス

俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン