ただ、今年の現象は例年を大きく上回るものであり、知人のドラマ制作スタッフも「ここまで足並みがそろうとは驚いた」と言っていました。彼らテレビマンたちは、前述したように「テレビ視聴者は高齢化する一方である上に、若年層は録画やスマホなどで番組を見るため視聴率につながらないなど、若手俳優を起用するメリットは少ない」と思っているからです。

 今冬ここまで足並みがそろった理由として考えられるのは、スケジュールとバランスの関係性。各局とも、常に前後クールのラインナップや年間スケジュールなど、長いスパンのもとに企画を立て、キャスティングを進めています。その観点から有力視されるのは、「昨秋に中堅・ベテランの主演俳優ばかりで若手俳優不在の反動が今冬に出た」という見方。つまり、スケジュールとバランスの取り方が、各局そろってしまったのでしょう。

 ちなみに、昨年全体を見渡してみても、「プライム帯で若手俳優の初主演抜てき」は、ほぼありませんでした。日ごろテレビマンたちと話したり、会見などのインタビューを聞いたりしていると、「連ドラの未来を考えたら、そろそろ20代の若手俳優を抜てきしなければいけない」という思いが伝わってくるだけに、「改革」とまでは言えないものの「単なる偶然」ではない気がします。

 もちろん制作サイドも、ただ抜てきするだけでなく、サポート体制はバッチリ。吉岡里帆さんには桐谷健太さんと向井理さん、広瀬すずさんには阿部サダヲさんと田中裕子さん、山田涼介さんには波瑠さんと小澤征悦さんなど、主演級の俳優を助演に据えていますし、山﨑賢人さんの助演にも同世代の美男美女俳優をそろえるなど、強烈にサポートしています。

 このところ視聴者の間で「主演俳優の顔ぶれがいつも同じ」という声があがり続けていただけに、今冬の若手俳優抜てきがきっかけとなり、本当の改革につながっていく可能性は十分あるでしょう。その意味で、若手俳優を抜てきした作品が視聴率・評判ともによい結果を得られるのか、要注目なのです。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。


関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン