ヘンリー王子側は、王室離脱の背景には、王室内でメーガンさんに対する人種差別的発言があったからだとしていますが、王室側はそれを否定しています。いずれにせよ、女王の孫が王族であることを自ら辞め、母国を離れて暮らすのは極めて珍しい。イギリスでは夫妻の行動に批判の声が集まりました。その余波はいまも続いています」(英王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子さん)
アメリカへ渡って以降、テレビの長時間インタビューで自説を展開して王室を批判、暴露本出版にもかかわるなど、ヘンリー王子夫妻は王室を刺激し続けた。
「結婚の際は英王室に新しい風が吹いたとしてとても歓迎されていました。しかし、出て行くだけならまだしも、後ろ足で砂をかけるような行為には、王室メンバーも辟易していると報じられました」(前出・多賀さん)
当然ながら、その後のヘンリー王子夫妻と英王室の関係は良好とは言い難い。2021年の4月と7月に、ヘンリー王子は単身でイギリスに“里帰り”をした。祖父であるフィリップ殿下の葬儀に参列するためと、母・ダイアナ元妃の銅像の除幕式に出席するためだった。しかし、帰国時の警備体制と費用を巡って英政府への訴訟を起こすなど、そこでもまたトラブルが絶えなかった。
「現在、ヘンリー王子の態度を支持している英国民は全体の3割程度。メーガンさんに至っては4人に1人すら支持していません。“ヘンリー王子はまだしも、メーガンさんはもう二度とイギリスの地は踏めない”というのが、英国民の大多数の意見でした」(前出・多賀さん)
ところが6月3日、ヘンリー王子とメーガンさんが、揃って英国民の前に姿を見せた。英ロンドンのセントポール大聖堂で開かれた、エリザベス女王の在位70年を祝う礼拝の場だった。
「この出席について、国民の意見は二分され大騒動になりました。大聖堂には歓声も上がりましたが、大きなブーイングも響き渡りました。“王室を出て行ったふたりが、なぜ出席するのか”との批判が集まったんです。
ただ、エリザベス女王は国民の8割近くから支持されている人気者です。その上、前もって夫妻の礼拝への出席を快く認めていた。エリザベス女王の“イエス”は、水戸黄門の印籠みたいなものだと思っていいわけです。お祝いの席という“大義名分”に、批判の声が抑え込まれた格好です」(前出・多賀さん)
夫婦が揃って再び家族の集いに参加できたのは、エリザベス女王という絶対的な存在があったからなのだ。