40~50代の主婦にとっての同志は、保奈美さんだけではありません。今年は平成初期に活躍していた50代女優を重要なポジションで起用するケースが目立ちます。
原田知世さん(50歳)は『半分、青い。』(NHK)、鈴木京香さん(50歳)は『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日系)、大塚寧々さん(50歳)は『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)、斉藤由貴さん(52歳)は『いつかこの雨がやむ日まで』(フジテレビ系)、山口智子さん(53歳)は『BG~身辺警護人』(テレビ朝日系)、沢口靖子さん(53歳)は『科捜研の女』(テレビ朝日系)、薬師丸ひろ子さん(54歳)は『アンナチュラル』(TBS系)、黒木瞳さん(58歳)は『黄昏流星群』(フジテレビ系)に出演。
今秋スタートの『黄昏流星群』には、黒木さんに加えて、中山美穂さん(48歳)、麻生祐未さん(55歳)、八木亜希子さん(53歳)も出演しますし、今夏の『この世界の片隅に』(TBS系)では仙道敦子さん(49歳)が23年ぶりに女優復帰しました。高齢化社会が進む中、主婦女優だけでなく、未婚を貫く女優、子どものいない女優、離婚した女優など、その人生が多様なこともあり、やはり50代女優の視聴者ニーズは高まっています。
女優サイドにとっても、ニーズの高まりは歓迎ムード。「子育てがひと段落した」「同世代の活躍に刺激された」などの理由と、美しさを保ち続けている自信から、前向きな活動スタンスになっているようです。
芸歴が長く、人生経験も豊富な50代女優は、若手女優以上に何かとトピックスになりやすいだけに、今後もテレビに限らず、ネット、雑誌などのメディア全体が積極的に起用していくでしょう。日本人の平均寿命が上がり、テレビ番組の視聴年齢層も上がっていく中、彼女たちは「高齢化社会のヒロインでありシンボル」と言えるのかもしれません。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。