◆「原さんにしか分かりませんよ」
チーム内の「原シフト」とともに、周囲のバックアップ体制も着々と進む。実は高橋監督の辞任が発表された10月3日夜、原氏の自宅近くの公園で、各スポーツ紙記者による“緊急共同取材”が行なわれていた。参加した記者が明かす。
「この会見は球団からではなく、原さんと親しい記者から“取材に応じる”と連絡があった。球団関係者を引き連れ、現われた原さんは“今は何とも言えない”と答えるばかりでしたが、翌日には各紙揃って“次期監督は原氏が有力”と報じることになりました」
そうした報道と呼応するかのように、山口オーナーが「難しい状況。やはり経験実績といったことは必要」(3日)と語ったことで、スポーツマスコミも「3度目の原監督」一色になった。
「原さんの再々登板にあたって、暴力団に1億円を支払ったスキャンダル(※注1)や野球賭博問題(※注2)など、前回の退任に至った経緯を蒸し返されるかと思いきや、そうした論調は全くといっていいほど紙面に出ない。原さんと反目すれば、先々まで巨人の取材がしづらくなってしまいかねないと番記者が懸念するのは当然です」(スポーツライター)
【※注1/原監督が過去の女性問題に絡み、元暴力団組員に1億円を支払ったと『週刊文春』が報じた(2012年6月)】
【※注2/2015年9月、巨人軍の投手3人(当時)が野球賭博に関与していたことが発覚。翌2016年3月、さらに高木京介投手も関与していたことが明らかになる】
トップに権力が一極集中し、親しい側近で首脳陣が固められ、批判するメディアもいない──そんな構図は現政権にも重なって見える。ただし、プロスポーツの世界である以上、問われるのは、この新体制によって巨人が復活するのかどうかということに尽きる。