若いのにミョーに存在感があり、決して明るくはない作品の中で、彼女が出てくると急に照明が強まったようにパッとトーンが上がった。同時に“上から目線”な言動が少々気になったが、実はとても重要な役どころで、一連の演技は記憶に残るものとなった。
その記憶のまま、生田との熱愛報道に納得。メ~テレの玄関やスタジオ前室などに貼られている彼女がセンターにいる『まかない荘』のポスターに惹きつけられた。
当時、清野菜名にインタビューをした同局の徳重杏奈アナによると、「大胆な演技で知られていましたが、素顔は控えめな印象でした」とギャップに驚いた様子。だが、当時21才という若さに相応しく「周りの共演者の皆さんに愛され上手な“妹キャラ”という印象もありました」とのことだった。
ちなみに、ローカル誌のインタビューで、生まれ故郷である愛知県のテレビ局のドラマに主演できたことに「いままでやってきて本当に良かったです」とコメントしていた清野菜名。「いままでやってきて…」は、“仕事”はあったが、ボディダブル(代役)のようなオファーが続き、バイトで繋ぎながら続けてきたことを指していたのかもしれない。
『まかない荘』では料理人役ということで「料理教室に通いました」と努力家な一面を覗かせつつ、「遊び心あるファッションも、ぜひ見てほしいです」とも言っている。
実は清野菜名に最初に注目したのは同年代の女性なのである。それは彼女が07年、ファッション誌『ピチレモン』のオーディションからモデルになったからで、『まかない荘』の紹介文にも「カジュアル系おしゃれ女子から人気」とある。
09年には『グラビアJAPAN』で準グランプリを獲得し、映像デビューは11年の『神話戦士ギガゼウス』(関西テレビ)だ。
この経歴を「順調」というか「苦労してきた」というかといえば、件の同年代女優に比べたら後者なのかもしれない。
だが、そんな清野菜名がいよいよ多くの視聴者に存在を印象づけるときがやってきた。4月2日にスタートした連続テレビ小説(朝ドラ)『半分、青い。』(NHK)の「東京・胸騒ぎ編」のキャストとして選ばれたのである。
清野は、主演の永野芽郁に大きな影響を与える少女漫画家、豊川悦司のアシスタント役で、HPには永野演じる鈴愛の「生涯の親友となる」とある。
昨今の朝ドラといえば、ヒロインの家族や親友役からブレイクし、数作後にヒロインとなる“パターン”がポピュラー。土屋太鳳はまさにそうだし、高畑充希も同様である。
大ブレイク前夜の清野菜名の顔もすぐに浮かばなければ、名前の読み方もわからなかったとしても、まだ間に合う。時代がやっと清野菜名に追いつきそうだ。