特徴的なのは、朝ドラに限らずNHKのドラマにゆかりのある俳優が多いこと。大河ドラマ『真田丸』で真田昌幸を演じ、主役級の活躍を見せた草刈正雄さんを筆頭に、大河ドラマ『平清盛』で出演兼ナレーションに抜てきし、昨秋の『昭和元禄落語心中』で主演を務めた岡田将生さん、NHKのお笑い部門をけん引する『LIFE!~人生に捧げるコント~』の座長・内村光良さん。いずれもNHKの作品が代表作のひとつになっています。
その他のキャストでも、朝ドラ『あさが来た』の眉山惣兵衛役が記憶に新しい柄本佑さん、『悦ちゃん~昭和駄目パパ恋物語~』のヒロイン子役・平尾菜々花さん、『洞窟おじさん』で主演を務めたリリー・フランキーさん、20作超のNHKドラマに出演してきた小林隆さん、大河ドラマ3作ほかNHKドラマの出演が多い染谷翔太さん、さらに『べっぴんさん』『植木等とのぼせもん』らに出演した子役・粟野咲莉さんがヒロインの幼少期を演じるなど、まさに“NHKフルキャスト”。総力を結集している様子が伝わってきますし、今後もNHKにゆかりのある俳優が追加発表されていくでしょう。
「NHKのドラマを見てきた視聴者になじみの深い俳優をそろえる」という戦略は堅実そのものであり、制作サイドにとっての保険。「ここまでやって駄目だったら仕方がない」と思えるところまで努力しているのは素晴らしいことですが、お金をかけて人を集めたことで、プレッシャーが増しているのもまた事実です。
もちろんドラマはキャストだけでなく、スタッフの力が重要なのは言うまでもありません。なかでも脚本の大森寿美男さんが、「どんなドラマティックな物語を作るのか」「豪華キャストをどう生かすのか」が成否のカギを握っていると言えるでしょう。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。