そしていま、各ワイドショーのコーナーとして、イレギュラーで行われている芸能座談会は、件の「〜地獄耳」や「〜えみぃSHOW」に限りなく近いカタチである。
ワイドショー内の座談会だけではない。『好きか嫌いか言う時間』(TBS系)や『あるある議事堂』(テレビ朝日系)では芸能記者やカメラマンを招いての企画があったし、かつて「ゴシップ通選手権」と題した特番をやり、再びレギュラーとして復活した『クイズ タレント名鑑』(TBS系)も、である。このようにゴールデンやプライムタイムのバラエティー番組や特番の中に芸能ネタを取り入れることが急増したのも今年の特徴だ。
これは、次から次へと放たれた文春砲により、ゲス不倫が明るみに出たことや、覚せい剤や大麻で大物が逮捕されたことで、芸能ネタが“豊作”だったことが最大の理由だ。加えて、若者を中心に“1周回った”視聴者が、芸能ネタを新鮮に感じてくれていることも大きい。
たとえば、「写真誌がどのように張り込みをしていて、どのようなカメラで撮っているか」などは、年配の視聴者にとってみたら、「何度、聞いたかわからない」という話だろう。
また、リポーターが玄関のチャイムを鳴らして呼びかける接写だけでも視聴率の分計が上がったような時代や、フツーの熱愛なのに、何十人ものマスコミに囲まれて罵声を浴びせられるような場面は、いま見せたら年配の人たちには引かれてしまうような光景だ。
が、ずいぶん昔のスキャンダルであったとしても、「ホテルの同じフロアの3部屋でカメラマンがスタンバイしていた」とか「のぞき穴に細工をしていた」といった、写真誌全盛の頃=バブル時代のことや、昔の記者会見の映像、さらには、お正月の成田空港やホノルル空港に各局(関西の局も含む)のカメラやリポーターが押し掛けたりしている様は、若者たちにとっては、まるで平野ノラのネタを見ているような、「なに、それ?」「ホントにそんなことがあったの?」という、面白ネタに近いようなのである。
先日、井上公造氏と対談をしたところ、「来年も芸能ネタは元気なハズ」とのことだった。4月からの新番組企画がそろそろ上がる時期、もしかするとまた芸能ネタ番組が増えているかもしれない。